こんにちは、年間100冊の本を読む40代キャリアカウンセラーのほんまるです。
あなたは、取引先との待ち時間や、上司との1on1ミーティングで、こんな風に悩んだことはありませんか?
- 「天気の話以外、何を話せばいいのか分からない……」
- 「沈黙が怖くて、ついどうでもいい世間話で場を繋いでしまう」
- 「1on1がただの進捗確認(面談)になっていて、部下の本音が引き出せない」
かつての私もそうでした。仕事はできるつもりでも、いざ「雑談」となると何を話していいか分からず、ただ時間が過ぎるのを祈るような毎日。特に心が折れそうだった暗い時期は、誰かと話すこと自体が苦痛で、余計に「正解」を求めて空回りしていました。
そんな私を救ってくれたのが、今回ご紹介する一冊です。著者のピョートル・フェリクス・グジバチ氏は、モルガン・スタンレーやGoogleで人材育成に携わってきた、まさに「対話のプロ」です。
本書は、私たちが当たり前だと思っていた「日本式の雑談」を根本から覆し、人生とキャリアを好転させる「武器としての雑談」を授けてくれます。この記事を読み終える頃、あなたの雑談への恐怖は、「ワクワクする知的な探求」へと変わっているはずですよ。

| タイトル | 世界の一流は「雑談」で何を話しているのか |
| 著者 | ピョートル・フェリクス・グジバチ |
| 出版社 | クロスメディア・パブリッシング |
| 発売日 | 2023年3月1日 |
本書のサマリー(結論)
一流の雑談とは、単なる「場の空気作り」ではなく、明確な意図を持って相手の価値観に触れ、深い信頼関係(ラポール)を築くための「戦略的対話(ダイアログ)」です。天気の話や世間話といった「無難な話題」を捨て、相手の信念や希望にフォーカスすることで、ビジネスの成果と個人の生産性を劇的に高めることができます。
こんな人に読んでほしい
- 商談やプレゼン前の雑談で、いつも空回りしてしまう営業職の方
- 部下との1on1が「進捗報告会」になってしまい、心理的安全性を築けていないマネジャー
- 内向的な性格で、初対面の相手とのコミュニケーションに強いストレスを感じている人
- 「自分らしさ」を活かしながら、世界標準のキャリアを築きたいと考えている方
【要約】世界の一流は「雑談」で何を話しているのか
1. 日本式「潤滑油」から世界標準の「ダイアログ」へ
著者のピョートル氏は、日本人が交わす「今日は暑いですね」といった雑談に違和感を覚えると言います。日本では雑談を「本題に入る前の無駄話」や「緊張を解くための潤滑油」と捉えがちですが、世界の一流は異なります。
世界のビジネスシーンで、一流のビジネスマンが交わしているのは、日本的な雑談ではなく、「dialogue」に近いものだと思います。ダイアログとは、「対話」という意味ですが、単なる情報のやりとりだけでなく、話す側と聞く側がお互いに理解を深めながら、行動や意識を変化させるような創造的なコミュニケーション・・・・・・を目指した会話です。(本文より引用)
彼らは雑談を「武器」として捉え、以下の5つの明確な意図を持って向き合っています。
- 状況を「確認する」
- 情報を「伝える」
- 情報を「得る」
- 信用を「作る」
- 意思を「決める」
つまり、「何のための雑談か」という目的意識が、日本と世界では決定的に違うのです。無意味な雑談は、貴重な「時間」と「ビジネスの可能性」、そして「レピュテーション(評判)」を奪うリスクがあると著者は警告しています。
2. 相手を丸裸にする「自己認識」と「自己開示」のステップ
深い雑談をするためには、まず自分自身を知る「自己認識」が必要です。自分が何を大切にし、何を正しいと信じ、何を求めているのか。これらが明確になっていないと、相手に心を開いてもらうための「自己開示」ができません。
日本人は「村社会」の名残で、和を乱さないための「無難なフレーズ」に隠れがちですが、これでは信頼関係は築けません。欧米のビジネスマンは、週末の過ごし方一つとっても、そこから自分のアイデンティティを表現し、相手の価値観を必死に探り当てようとします。
著者は、「価値観」「信念」「希望・期待」の3点について自分を見つめ直し、それを雑談に盛り込むことを推奨しています。自分から「私はこういう人間です」と心を開くことで、初めて相手も「実は私は……」と本音を語り始めるのです。これこそが、心理学でいう「ラポール(心が通じ合った状態)」の第一歩です。
3. Google流・最強のチームを作る「社内雑談」の極意
Googleがなぜ世界一の企業であり続けるのか。その答えの一つが、徹底的にデザインされた「社内雑談」にあります。驚くべきことに、「雑談をするチームは、しないチームよりも生産性が圧倒的に高い」というエビデンスがあるそうです。
Googleのオフィスには、わざと「衝突の機会(意図的な雑談)」を作るための工夫が凝らされています。
- 一人で座れる席がない社員食堂
- 移動の際に必ず誰かとすれ違う狭い通路
- 経営陣に「社長の意見は間違っている」とぶつけられる金曜日の全社ミーティング(TGIF)
また、昨今注目されている「1on1ミーティング」についても、著者は鋭い指摘をしています。日本の1on1は、上司が部下を評価・管理するための「面談」になりがちですが、本来は「メンバーのコンディションを整え、パフォーマンスを最大化させるための雑談」であるべきです。
「マネジャーはもっと自分の『弱み』を開示していい」。上司が完璧であろうとせず、隙を見せることで、職場の心理的安全性が高まり、チームの生産性は劇的に向上します。
4. 武器としての「質問力」と戦略的リサーチ
一流のビジネスマンは、雑談の「準備」を欠かしません。事前に相手のSNSやIRレポート、近況を調べ、「ピンポイントで相手に刺さる話題」を用意します。「今日は暑いですね」の代わりに、「最近の〇〇プロジェクト、素晴らしい成果でしたね。どのような信念で取り組まれたのですか?」と問いかけるのです。
もし教養に自信がなくても、「質問力」を磨けば勝負できます。著者が推奨する「7つの本質的な質問」の一部を紹介しましょう。
- 「あなたは仕事を通じて何を得たいですか?」(価値観)
- 「何をもって『いい仕事をした』と言えますか?」(仕事の基準)
- 「あなたの一番の強みは何ですか?」(自己認識)
これらは一見重い質問に見えますが、「素朴な疑問なんですけど……」という便利な枕詞を添えることで、相手の警戒心を解きながら、深い情報を引き出すことができます。雑談は「お互いの人生を豊かにするための学びの場」なのです。
私が実際に試して変わったこと(感想・体験談)
この本を読み、私は自分のコミュニケーションがいかに「逃げ」だったかを痛感しました。以前、キャリアカウンセラーとしてクライアントと接する際、どうしても「嫌われないこと」を優先し、当たり障りのない話ばかりしていました。結果、カウンセリングが終わっても、相手の心の核心に触れられないもどかしさを感じていたのです。
ある日、私は思い切って本書のアクションを実践してみました。初めてお会いする、少し厳格な雰囲気の役職者の方との面談です。いつもの「お天気の話」を飲み込み、相手のデスクに飾られていた家族写真に目を向けました。
「素敵なお写真ですね。素朴な疑問なのですが、〇〇様が仕事でお忙しい中、ご家族との時間で最も大切にされていることは何ですか?」
一瞬、空気が止まりました。やってしまったか……と冷や汗が出ましたが、次の瞬間、その方の表情がふわりと和らぎました。「実は、子どもには背中で仕事を見せたいと思っていてね……」と、それまで一度も話したことがなかったという、彼自身の挫折経験や今の仕事を選んだ理由を熱く語ってくれたのです。
その後のカウンセリングは、驚くほどスムーズに進みました。まさに、雑談で「ラポール」が形成された瞬間でした。ただの世間話ではなく、相手の「価値観」に興味を持つだけで、ここまで世界が変わるのかと鳥肌が立ちました。今では、沈黙も怖くありません。むしろ「次はどんな本質的な問いを投げようか」と、対話を楽しむ余裕が生まれています。この本は、私の内気な性格を「最強の武器」へと変えてくれました。
明日からできるアクション
- 「素朴な疑問なんですけど」という枕詞を使い、相手の「価値観(何を大切にしているか)」について1つ質問してみる。
- 商談や会議の前に5分だけ時間を使い、相手の近況やSNS、会社のニュースを調べて「独自のトピック」を準備する。
- 1on1ミーティングでは進捗報告を後回しにし、最初の10分を「最近、仕事の中で何に一番ワクワクしている?」といったポジティブな雑談に充てる。
- 自分自身の「弱み」や「失敗談」をあえて開示し、相手が安心して話せる「心の土壌」を作る。
- 「サイクル(流行の周期)」「トレンド(最新の動き)」「パターン(ビジネスモデル)」の視点で異業種の人に質問を投げかける。
まとめ
雑談とは、中身のない無駄話のことではありません。目の前の相手を「全人的に関心を持って理解しようとする」愛の行為です。私たちは「今日は暑いですね」という言葉の後ろに隠れるのをやめ、自分という人間をさらし、相手の深い物語に耳を傾ける勇気を持つべきです。
時間は有限です。そして、ビジネスも人生も、結局は「人と人とのつながり」でしか好転しません。あなたが明日、勇気を持って投げる一言が、誰かの心を震わせ、大きなビジネスチャンス、あるいは一生モノの親友を連れてくるかもしれません。
「雑談を変えれば、人生の質が変わる」
かつて絶望の淵にいた私に、本が希望をくれたように、この要約があなたの明日を照らす小さな光になれば幸いです。あなたの人生という物語が、素晴らしい対話で満たされることを心から願っています!
関連書籍
- 『NEW ELITE!(ニューエリート)』ピョートル・フェリクス・グジバチ(著)
- 『世界最高のコーチ』ピョートル・フェリクス・グジバチ(著)


