こんにちは、年間100冊の本を読む40代キャリアカウンセラーのほんまるです。
あなたは今、こんな悩みを抱えていませんか?
- 「部下に何度指示を出しても、なかなか自発的に動いてくれない」
- 「良かれと思ってアドバイスしたのに、相手の顔が曇ってしまった」
- 「多様な価値観を持つメンバーと、どう接していいか分からない」
かつての私も、全く同じ壁にぶつかっていました。管理職として「正解」を教えなければならないというプレッシャーに押しつぶされ、空回りする日々。そんな私を救ってくれたのが、今回ご紹介する一冊です。
著者の鈴木義幸氏による『新 コーチングが人を活かす』は、日本にコーチングを広めた第一人者が、20年分の知恵を詰め込んでアップデートした、まさに「対話の教科書」です。
この本は、単なるテクニック集ではありません。人を動かすための「哲学」を教えてくれます。

| タイトル | 新 コーチングが人を活かす |
| 著者 | 鈴木義幸 |
| 出版社 | ディスカヴァー・トゥエンティワン |
| 発売日 | 2020年6月30日 |
4.サマリー(結論)
本書の結論を一言でいうなら、「コーチングとは、相手と問いを共有し、共に未来を探索する旅である」ということです。
かつてのコーチングが重視していた「引き出す」という一方的な姿勢を捨て、「相手の中に答えがあると信じ、伴走者として一緒に見つける」というスタンスへの転換こそが、今の時代に求められるリーダーシップの核心です。
5.どんな人に読んでほしいか
- 部下や後輩の育成に悩んでいるリーダー・マネージャー層
- 子どもとのコミュニケーションを改善したい親御さん
- 「正解のない問い」に対してチームで答えを出したいプロジェクト担当者
- プロのコーチを目指している方、またはコミュニケーションスキルを底上げしたい方
6.本の要約
① 「引き出す」から「共に探す」へのパラダイムシフト
本書の冒頭で著者が最も強調しているのが、「引き出す」という言葉の削除です。かつてコーチングは、相手の中にある答えを引っ張り出す技術だと思われてきました。
しかし、その考え方には「引き出す側(わかっている人)」と「引き出される側(わかっていない人)」という上下関係が隠れています。著者は、現代のコーチングを次のように定義し直しています。
コーチングはあくまでも、問いを2人の間に置き、一緒に探索しながら、相手の発見をうながしていくというアプローチをとります。(中略)「コーチングとは、問いを2人の間に置き、一緒に探索し、その中で相手の発見をうながすもの」だということを、本書を貫く哲学としてど真ん中に置いています。
上司が「答え」を押し付けるのではなく、真っ白なキャンバスに一緒に絵を描いていくような協力関係を築くことが、部下の主体性を育む第一歩となるのです。
② 思考の解像度を上げる「チャンク・ダウン」と「なに」の質問
具体的なスキルの中で、私たちが明日からすぐに使えるのが「チャンク・ダウン(かたまりをほぐす)」という技術です。
人は自分の体験を「うまくいっていません」「最高でした」といった、大きくて抽象的な「言葉のかたまり(チャンク)」で話しがちです。ここを丁寧に解きほぐすことで、本当の課題が見えてきます。
- 「うまくいっていないというのは、具体的にどこに難しさを感じているの?」
- 「最高だったというのは、誰のどんな行動がきっかけだったのかな?」
また、相手を追い詰めないために「なぜ(Why)」を「なに(What)」に置き換えることも重要です。なぜできないんだ?と問われれば人は防御に入りますが、「なにが障害になっている?」と問われれば、客観的な分析を始めることができるのです。
③ 相手に合わせた個別対応「4つのタイプ分け」
コミュニケーションがうまくいかない最大の理由は、「自分が接してほしいやり方で、相手に接してしまうこと」にあります。本書では、対人関係の特徴を以下の4つのタイプに分類しています。
- コントローラー:決断が早く、結論を好む。他人の指図を嫌う。
- プロモーター:アイデア豊富で活気がある。楽しさを重視する。
- アナライザー:分析的で計画的。客観的なデータを重んじる。
- サポーター:協力的で人の感情に敏感。調和を大切にする。
たとえば、データ重視のアナライザーに「想い(熱意)をぶつけろ!」と指導しても逆効果です。相手のタイプに合わせて「言語」を変えること。これこそが、多様性の時代におけるマネジメントの極意です。
④ 未来を創る「魅力的なイメージ」と「フォロー」の継続
多くのリーダーは、目先の課題を解決することに必死で、「何のために頑張るのか」という未来の話を疎かにしています。
コーチングでは、「理想の未来」を五感を使ってイメージさせることを大切にします。その未来が達成された時、周りには何が見えるのか? どんな音が聞こえるのか?
そして、一度の対話で終わらせず、「しつこいくらいにフォローし続ける」ことが行動変容には不可欠です。「いつでもあなたの挑戦をサポートしている」というメッセージが伝わった時、相手の心に火が灯ります。
7.私が実際に試して変わったこと(感想・体験談)
この本を読みながら、私はかつて不登校になった我が子との向き合い方を思い出していました。当時は、親として「正解」を教えなければならないと必死でした。「なぜ学校に行けないのか(Why)」を問い詰め、私の価値観を押し付けていたのです。
本書に出会い、まずは「心のシャッターを上げる(スキル01)」ことから始めました。挨拶一つに心を込め、日常の「通りがかりの一言」を大切にする。そして、何か話してくれた時は「オウム返し(スキル14)」で、ただその気持ちを受け止めることに徹しました。
ある日、勇気を出して「サポーター・タイプ」の気質を持つ我が子に、「お母さんにどんな風に接してほしい?(スキル21)」とリクエストを聞いてみたのです。すると、返ってきた言葉は「ただ、隣にいてほしいだけ」という答えでした。
私は自分の「コントローラー」的な性質で、問題を解決しようとばかりしていました。しかし、コーチングの哲学に従い、「相手の中に答えがある」と信じて待つ姿勢を貫いた結果、数ヶ月後には子ども自身が「自分はこうしたい」と未来の計画を話し始めたのです。
この体験を通して確信したのは、コーチングは「相手を操作する技術」ではなく、「相手の力を信頼する勇気」であるということです。この本が教えてくれた「伴走者」としての在り方は、仕事だけでなく、私の人生そのものを温かく変えてくれました。
8.明日からできるアクション
本書の内容を実践し、あなたの周りの人間関係を好転させるためのスモールステップを3つ提案します。
- 「なぜ(Why)」を封印し、「なに(What)」で質問する
(例:「なぜ遅れたの?」ではなく「なにが原因で時間がかかったのかな?」と聞く) - 相手の言葉をそのまま「オウム返し」して、3秒待つ
(自分の意見を言う前に、まずは相手の言葉が場に馴染むのを待つ) - 「I」の立場でアクノレッジメント(承認)を伝える
(例:「よくやったね」という評価ではなく、「あなたが頑張っている姿を見て、私も刺激を受けたよ」と自分の感情を伝える)
9.まとめ
鈴木義幸氏の『新 コーチングが人を活かす』は、私たちに「対話が持つ無限の可能性」を思い出させてくれます。
どれだけテクノロジーが進化しても、最終的に人を動かすのは、人と人との間にある温かい「関わり」です。相手をコントロールしようとする手を緩め、「問い」という種を一緒に育てることで、組織も家庭も必ず変わり始めます。
あなたは、今日、大切なあの人とどんな「探索」を始めますか?
一冊の本が私の人生を救ってくれたように、この本の中にある言葉が、あなたの明日を明るく照らす光になることを心から願っています。
10.関連書籍
- 『3分間コーチ ひとりでも部下のいる人のための世界一シンプルなマネジメント術』(伊藤守 著)
- 『図解 コーチング流タイプ分けを知ってアプローチするとうまくいく』(鈴木義幸 著)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。あなたの「次の一歩」を、心から応援しています!


